屏風絵の家
立体的に景色を楽しむ
敷地は、国有林に隣接する北傾斜の急斜面で、敷地からは深い谷を介して、浅間山とその稜線と森が広がります。眼前には人工物が一切存在しません。
扇型の大小の平面を南北にレベル差をつけて重ね、屏風絵を見るように景色が立体的に広がる場と、昇り斜面に向かう小さな求心的な場をつくりました。
日本の屏風絵は、折れた状態で鑑賞することを前提としていて、折ることで平面的な絵に立体感が生まれます。視点を移動させると、絵が変化します。
多角に折れたガラスのスクリーンという屏風を通して、景色を立体的に臨場感たっぷりに楽しめるようになっています。
Gallery
空間を規定する床と天井に欧州の厚みのあるオークと木曽のヒノキを取り合わせました。
冬場には南の光を取り込み建物内に蓄熱します。
クライアントと設計者の対話、風景と人の営みの対話、材料の対話を重ね、西と東の考え方が融合した先に、禅的な自他の境界を越えて森羅万象の一如となるような時空間が生まれました。
クライアントの友人であるイタリア人彫刻家Reinhold Traxlに制作を依頼し、鉄の厚板を折り曲げ、重ね、中に蓄熱用のマグネサイト石が組み込まれた、彫刻のようであり暖炉のようである炎と鉄のオブジェが建物の中心に挿入されました。景色と対峙する人の営みの中心です。
Information
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所在地
長野県
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主要用途
別荘
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主体構造・規模
RC造、木造
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敷地面積
953.30m²
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設計期間
2016年12月〜2018年9月
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工事期間
2018年9月〜2020年7月