
内海清美
源氏物語館
和紙彫塑によって源氏物語を現代に表現するための美術館です。
内海清美さんの作品は和紙を使った触覚の造形です。
作品に光と音楽が加わった状態を表現形式とされており、五感で観賞できるような場を望まれました。
会場全体を大きな舞台としてしつらえ、美術館と劇場が合わさったような施設を提案しています。
大きな舞台の中を移動しながら、入れ子の関係にある個々の舞台(作品)を体感し、観客は物語の中に入ってしまうような体験をします。
物語の主人公、光源氏は御簾越しに数々の姫君の気配を感じました。
直接全てが見えない事により、感覚はより研ぎすまされ、匂い、衣擦れの音などの気配(視覚以外の感覚)に敏感になります。
儚く透ける幾つもの境界。
ひとつひとつ越えていくためになされる源氏の努力。
観客も同じように朧な境界を越えて物語の進行を辿ります。
大きな舞台のしつらえと内海さんの源氏物語の世界とをシンクロさせました。
Gallery






タイムトンネル。
現代から源氏物語の世界に、光と音の演出で移行する空間です。
途中には、メッシュガラス越しに展示がおぼろげに浮き上がります。





源氏物語の世界に描かれている、遮るものがあり、それ越しに見える姿のことを「透影」といいますが、
この言葉が示す朧げにものの気配を感じる状態を、舞台のしつらえとして今の工業製品を用いて新しくつくりました。

スクリーンの素材には、植物の繊維を重ねた和紙のように、編んだ材料として繊細なステンレスのメッシュを用いています。和紙の魅力を引き立たせるために、意図的に対比して金属やガラスを選びました。



Information
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所在地
東京都多摩市
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主要用途
美術館
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主体構造・規模
鉄骨造 インテリア設計
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敷地面積
-m²
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設計期間
2001年4月~2002年9月
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工事期間
2002年9月~2003年1月