
襲(かさね)の家
この住宅は、「重ねる」、「くるむ」、「ずらす」という3つの操作を立体的に行うことよって、
建物全体の構成からディテールに至るまで一貫してデザインしています。
襖や障子が幾重にも重なって構成された日本の昔の住宅、
何枚も布を重ねて羽織った昔の和服、
重ねるという行為から生み出される日本の和の心を、形を変えて探っています。
一枚の面で内と外が区切られるのではなく、
何枚かの面を重ねたりズラしたりすることで、覆われた空間を作っています。
具体的には、
二つの折れ曲がった面を南北にずらすことにより、大きな庇と半屋外の空間をつくりました。
夏には強い日差しを遮り、冬には陽を長く室内に取り込めるようになっています。
屋根は二重になっていて、その間を風が通り抜け夏場の熱気を逃すと同時に、半屋外の屋上スペースを作り出しています。
地震などの水平力に抗するため、内側の面は斜めになり、ブレースとして作用しています。
Gallery



日照による熱負荷を考慮し、外壁は白で統一しています。
東面と屋根は室内の通風と日照を配慮したスリットが設けられています。

日中の直射光はテラスの有孔面材を通して軽減され、室内に適度な光りをもたらします。

日中は北側からフィルムを貼ったガラス面から柔らかな光と南側の外部床から反射した光の双方が室内を明るく照らします。
向かって右側には水回りを集約し、設備関係の負荷を最小限にしています。




キッチンカウンターは会話をしつつ調理ができます。オール電化の住宅にすることで、キッチン回りもすっきりと収まります。


ダブルルーフの間を風が通り抜け夏場の熱気を逃がすという合理性と、ロフトよりも広い屋根面に覆われた半屋外空間という非合理性が相乗効果をもたらしています。







Information
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所在地
千葉県
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主要用途
専用住宅
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主体構造・規模
木造、鉄骨造、地上2階
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敷地面積
85.32m²
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設計期間
2003年1月~2003年8月
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工事期間
2003年9月~2004年3月