
那須野が原
ハーモニーホール
那須野が原という清らかな言葉のもつイメージに誘われて大学の同級生である仲條君と一緒に黒川紀章氏が審査委員長のコンペに応募しました。
この建物が位置する栃木県の大田原周辺では、美しい田園風景が広がりますが、急速に住宅地化が進行しています。このような状況の中で、公共の施設として新しい自然をつくり残していく事が必要と考えました。そして、日常的に人が散歩したり集まったりする公園的な場に全体がなればよいと思いました。平面的に広がる田園の緑に連続するように、起伏をつけた丘をつくり、那須疎水に代表される田畑や町中を流れる水路の流れを、敷地中央を通る水のプロムナードとしてあらわしました。その水の流れにそって来訪者を施設の中央部へと誘うように計画しています。1200席のシューボックス型の大ホール、400席の小ホール、ギャラリー等の施設があります。
Gallery




那須疎水に代表される田畑や町中を流れる水路の流れを、敷地中央を通る水のプロムナードにしました。その水の流れにそって来訪者を施設の中央部へと誘うように計画しています。

円形広場
円形広場は、人々を敷地中央へ導く際のクライマックスの空間であると同時に、建物内部でホール棟へ人を導くはじまりの空間でもあります。各施設を結ぶ円形スロープが円形広場大壁の外側から始まり、いつのまにか壁の内側に入り込みます。円をずらして配置することにより、人々は不思議な体験を味わいながら次第に上昇し、非日常的な雰囲気へと誘われます。









ギャラリー
透明感をもたせ、水のプロムナードを行き交う人々に、常にギャラリー内部で今現在行われている文化的なメッセージを発信する場です。






ホールロビー
チケットのも切りや幕間の休憩をするスペースです。


大ホール
特に弦楽器に対して音響空間が得られるように意図されており、初期反射音のブレンドに対して慎重に考慮された拡散リブ壁が新たに考案されました。クラッシックのコンサートを主目的としながらも、講演会、映写会等、多様な用途に対応しています。残響時間は1.7秒から2.1秒に可変できるよう計画されています。音響設計は 永田音響。


演劇を主目的とした多目的ホール
ホワイエがやわらかいパンチングの皮膜で包まれた空間であるのに対して、扉を開けるとそこには硬質な上昇する空間が現れます。客席は1列ごとに人の頭の高さ分段差をつけ、良好な視界を確保すると同時に、ステージから見たとき観客が人垣をつくることにより、出演者と観客との間の臨場感を高めることを意図しました。




Information
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所在地
栃木県大田原市西那須野町
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主要用途
劇場、展示場、集会場
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主体構造・規模
鉄骨造 鉄筋コンクリート造 鉄骨鉄筋コンクリート造、地下1階 地上3階 PH1階
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敷地面積
25,226.39m²
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設計期間
1992年1月~1992年9月
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工事期間
1992年10月~1994年10月